鮎の味は川で決まる?石とコケの話

鮎は「川を食べている」魚ですか?

「鮎の味は川で決まる?」と聞かれたら、私たちは迷わず「はい」とお答えします。そして、その”川の力”を一番近くで感じているのが、ここ岐阜県揖斐川町・根尾川沿いの「上長瀬やな 和亭(なごみてい)」です。

お客様とお話をしていると、 「どうしてここの鮎はこんなに香りがいいんですか?」 と聞かれることがよくあります。

そのたびに私たちは、 「鮎は、エサのコケと川の水を、そのまま味にしてくれる魚なんです」 とお答えしています。

鮎は、川底の石についた「コケ(付着藻類)」を主食にしています。

このコケが良質であればあるほど、鮎の身には爽やかな香りと、ほどよい旨みが宿ります。

逆に、水が濁っていたり、川底がドロドロしていると、コケも傷み、鮎の香りも弱くなったり、時には臭みの原因になることもあります。

ここ根尾川では、川底の石一つひとつがはっきり見えるほどの透明度があります。

太陽の光がしっかり川底まで届き、石の表面には、うっすらと緑や茶色のコケがついています。

この”うっすら”というのが実は大切で、厚くベットリついたコケより、薄く若いコケの方が、香りがよく、鮎にとってごちそうなんです。

「川を食べて育つ」と言われる鮎にとって、水の透明度、太陽光の届き方、石の種類と並び方が、そのまま味を決める要素になります。

現場で実感する「香りの違い」

炭火の前で鮎を焼いていると、川ごとに香りが違うことを、私たちは肌で感じています。 以前、同じ時期に、他の川の鮎と根尾川の鮎を焼き比べたことがありました。

見た目はどちらもきれいな鮎でしたが、焼き上がりの香りをかぐと、根尾川の鮎からは、ふわっとスイカのような、青々とした香りが立ち上りました。

一方、他の川の鮎は、香りがやや弱く、炭火の香りが前に出てくる印象でした。

味をみると、根尾川の鮎は、身の甘みと香りが口いっぱいに広がり、あと味がすっと消えていきます。 「同じ鮎なのに、こんなに違うのか」と、スタッフ同士で顔を見合わせたのを覚えています。

この違いを生んでいるのが、まさに「川」そのもの。 だからこそ、私たちは「鮎の味は川で決まる」とお伝えしているのです。

魚屋一筋30年の目から見た「良い川」

和亭を始める前、私たちは長年、魚屋として生魚と向き合ってきました。

市場で鮎を仕入れるとき、同じ”天然鮎”と書いてあっても、川が違えば、香りも脂の乗りも大きく変わります。

経験的にわかっていたのは、水の色が澄んでいる川の鮎は身も香りもきれいだということ、そして石の多い川の鮎は身に力があって、焼いたときに皮がパリっと仕上がるということでした。

実際に根尾川のほとりに立ち、川底の石を手に取ってみたとき、「ああ、この川なら、鮎はうまくなる」と、直感的に感じたのを今でも覚えています。 その感覚こそが、和亭の場所として、根尾川を選んだ大きな理由のひとつです。

根尾川が育てる「香り高い鮎」とは

根尾川は、岐阜県揖斐川町を流れる支流で、上流には大きな工場などがなく、山からの清らかな水がそのまま流れ込んできます。

そのおかげで、年間を通して水質が安定し、鮎にとって理想的な環境が保たれています。

鮎が「清流の女王」と呼ばれるのは、水質にとても敏感で少しの汚れでも住めなくなること、エサとなるコケの質に味が大きく左右されること——わがままとも言えるほどの繊細さを持っているからです。

根尾川の水質がもたらすもの

専門的な言い方をすると、根尾川の水質は「弱アルカリ性」で安定していると言われています。

弱アルカリ性とは、pH(ピーエイチ)という値で表される水の性質のことで、7.0〜7.5前後の、口当たりもやわらかく、生き物にとって過ごしやすい状態を指します。

この水質に、根尾川ならではの特徴が加わります。

透明度が高く、太陽光が川底までしっかり届く

流れが速すぎず、遅すぎず、ちょうどよいスピードで水が入れ替わる

川底に大小さまざまな石があり、コケが育ちやすい面が多い

これらが組み合わさることで、香りのよいコケが育ち、鮎が元気に泳ぎ回れ、身にしっかりとした弾力が出るという、鮎にとって理想的な環境ができあがります。

お客様のひと言が示す「川の力」

実際にご来店のお客様からは、「川魚は少し苦手だったんですが、ここの鮎は臭みがなくて驚きました」「子どもが、丸ごと一本をペロッと食べてしまいました」というお声をたくさんいただきます。

私たちは、鮎を扱うプロとして下処理や火入れにもこだわっていますが、「ここまで素直においしくなってくれるのは、やっぱり根尾川のおかげだね」と、スタッフ同士でよく話しています。

とくに、初めて鮎を丸ごと召し上がるお客様が、頭から尻尾まで残さず食べてくださったときは、「川と鮎とやなの力が、ちゃんと伝わったんだな」と、私たちも嬉しくなります。

根尾川の四季と鮎の味の変化

同じ根尾川でも、季節によって鮎の味わいは変わります。

初夏(6〜7月頃): まだ小ぶりな「若鮎」は、身がやわらかく、すっきりとした香りが特徴です。

真夏(8月頃): しっかり成長した鮎は、脂がのり、香りも力強くなります。

初秋(9月頃): 「落ち鮎」と呼ばれる時期には、卵や白子の旨みが加わり、また別の楽しみ方ができます。

この季節ごとの変化も、川の水温や流れ、コケの育ち方が影響しています。

同じ根尾川の鮎でも、「いつ来ていただくか」で、まるで違う表情を見せてくれるのです。

石とコケがつくる「理想の鮎のエサ場」

「川のどこに石があるか」「その石にどんなコケがついているか」——これも、鮎の味を決める大事なポイントです。

根尾川の河床には、丸みのある石や平たい石が、大小さまざまに敷き詰められています。

この石たちが水の流れを複雑にし、場所によって流れの速さを変え、さまざまな”鮎の食卓”をつくり出しています。

「良いコケ」とはどんなコケ?

鮎の世界で「良いコケ」と言われるのは、薄く均一についていて、指で触ると少しヌルっとする程度で、水に近づくとスイカやキュウリのような青い香りがする——そんなコケです。

専門的には「付着藻類(ふちゃくそうるい)」と呼ばれ、川底の石に張りつくように育つ植物プランクトンです。

このコケは、

きれいな水

たっぷりの太陽光

適度な流れ

がそろった場所でしか、元気に育つことができません。

根尾川では、こうした条件を満たす場所がたくさんあります。 やなの上流に立って川面を見ていると、石の表面がほんのりと色づいて見えるポイントがあり、「あそこはきっと、鮎がよく食べている場所だな」と、目で見てわかるようになってきます。

石と流れが生む酸素のシャワー

石が多い川では、水が石にぶつかり、はね、泡がたくさんできます。 この泡は、水の中に酸素を取り込む役割を果たしていて、常に新鮮な酸素が供給されている状態をつくります。

鮎は泳ぎ続ける魚ですので、酸素が豊富な場所ほど、元気に動き回り、よくエサを食べます。

その結果、筋肉の質がよくなり、身にほどよい弾力が生まれます。

炭火で焼いたとき、皮がパチパチと音を立ててはじけ、身を割ると、しっとりとしながらもホロッとほぐれる——こうした焼き上がりは、まさに川の石と流れがつくった”仕事”の賜物です。

早朝の川で見える「鮎の食事風景」

営業前の早朝、川の様子を見に行くと、石の上をスッと横切るように泳ぐ鮎の姿が見えることがあります。 彼らは石についたコケを、口でこそぎ取るようにして食べています。

よく見ると、特定の石だけ表面が少し白っぽくなっている場所があり、「ここは鮎の人気の食卓なんだな」とわかります。 こうした場所は、コケが若く、栄養たっぷりで、香りもよい証拠です。

私たちは、こうした川の様子を、日々の仕入れやメニュー構成にも活かしています。 たとえば、コケの育ちが良さそうな時期には、香りを楽しんでいただける「塩焼き」をおすすめしたり、身に力が出てくる時期には、「フライ」や「甘露煮」に適したサイズを選んだりしています。

「やな」と職人の仕事で引き出す、根尾川鮎の魅力

上長瀬やな 和亭の特徴は、「やな」で鮎を獲り、その場で鮎料理をお出しできることです。

「やな」とは、川幅いっぱいに竹などを組み、川を遡上・下降する鮎を自然の流れの中で捕らえる、伝統的な漁法のことです。

この「やな」で獲れる鮎は、網で追い回されることが少なく、ストレスも少ない状態で捕獲されます。

身に傷がつきにくく、体力を残したまま活きがよいので、鮎本来の味わいを損なわずにお客様にお届けできるのです。

魚屋の目利き × やなの鮎

和亭を営む私たちは、魚屋一筋30年の経験を持ち、鮮魚の目利きには自信があります。

同じやなで獲れた鮎の中でも、その日の水温、鮎の動き方、サイズや体の厚みを見て、どの料理に向いているかを判断しています。

皮が薄く、身のやわらかい若い鮎: 塩焼きや天ぷらにして、軽やかな香りを楽しんでいただく。

しっかりと太った鮎: 炭火の塩焼きで脂を落としつつ、旨みを凝縮させる。

大きめの鮎: 甘露煮など、じっくり火を通す料理にして、骨まで柔らかく仕上げる。

お客様から見えるのは「焼き上がった一皿」ですが、その裏には、川の状態を見て、魚の顔色を見て、最適な一匹を選ぶという、職人の仕事があります。

現場で起きた、忘れられない一場面

ある年の夏、前日まで雨が降り、水位が少しだけ上がった日がありました。 川の様子を見に行くと、石の色がいつもより少し濃くなり、水の流れも心なしか力強くなっていました。

その日のやなには、いつもより大きめの鮎が多くかかっていて、手に取ると、身にギュッとした張りがありました。

その鮎を炭火で焼き、お客様にお出ししたところ、「今日の鮎、いつもよりさらに香りが強いですね」と、常連のお客様がすぐに気づかれました。

雨で水が少し入れ替わり、コケが新しくなり、鮎が一気にエサを食べたのでしょう。 川の小さな変化が、そのまま鮎の味に現れる瞬間を、目の前で見た出来事でした。

こうした体験を重ねるたびに、「鮎の味は、やっぱり川で決まる」という言葉の重みを、私たちは一層強く感じるようになります。

根尾川の自然と、安心して楽しめる鮎時間へ

上長瀬やな 和亭は、根尾川のほとり、揖斐川町谷汲長瀬にあります。

春から夏にかけて、川風が心地よく、秋には山の紅葉と川の流れが一度に楽しめる、自然豊かな場所です。

店内は冷房完備で、外は川のせせらぎ、中は落ち着いた和の空間となっており、小さなお子様連れのご家族や、ご年配のお客様にも、安心してお過ごしいただけます。

はじめての方にも安心な理由

「川沿いの鮎料理のお店」と聞くと、「虫が多そう」「暑そう」「トイレは大丈夫かな…」と、ご心配される方もいらっしゃいます。

和亭では、

冷房完備の店内で、ゆっくり食事ができる

座敷席もあり、小さなお子様連れでも過ごしやすい

魚屋出身のスタッフが、鮮度管理と衛生管理を徹底している

といった点を大切にしています。

また、鮎そのものの扱いにも細心の注意を払っています。 活きのよい状態で保管し、注文をいただいてから下処理と調理を行うことで、鮎の香りや身質を損なわないようにしています。

自然の力を、安心して味わっていただくために

根尾川という自然の恵みがあるからこそ、その力をしっかり引き出し、安全に、安心して楽しんでいただくことが、私たちの役目だと考えています。

お席からは、川の流れややなでの漁の様子をご覧いただきながら、炭火で香ばしく焼き上げた鮎の塩焼き、骨までほろっとほどける鮎の甘露煮、お子様にも人気の鮎フライなど、さまざまな鮎料理をお楽しみいただけます。

食事をしながら窓の外をご覧になるお客様から、「同じ鮎でも、街中のお店とは香りが違いますね」「川の音を聞きながら食べると、さらにおいしく感じます」といったお声をいただくことも多くあります。

「川を味わう」体験を、根尾川で

鮎の味は川で決まる。 その言葉の意味を、一番わかりやすく感じていただけるのが、ここ根尾川だと、私たちは信じています。

きれいな水、石とコケがつくるエサ場、やなで獲れた鮎、魚屋の目利きと職人の技、そして、川風と炭火の香りに包まれた時間。

「川の違いで、鮎の味はこんなに変わるんだ」——そんな発見と感動を、ぜひ、あなたの舌で確かめにいらしてください。

皆さまのお越しを、根尾川のほとり「上長瀬やな 和亭」で、心よりお待ちしております。



🍃**上長瀬やな 和亭(なごみてい)**🍃

2025年度の営業は終了いたしました
今年もたくさんの方にお越しいただき、誠にありがとうございました。
2026年度の営業は7月1日からとなります。来年もまたよろしくお願い致します😄


岐阜・根尾川の自然に囲まれた「やな」で、旬の鮎を炭火で。
魚屋一筋30年の目利きが選ぶ、極上の鮎料理をぜひご堪能ください。

📍岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲長瀬720
📞 ご予約・お問い合わせ:0585-55-2630
🕒 営業時間: 11:00~ 17:00 ラストオーダー16:30
🚗 大型駐車場完備 / PayPay対応

📲 公式LINE・Instagramで最新情報&お得なクーポン配信中!
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