川がきれいだと鮎が美味しい理由

川のきれいさと鮎の味はどう関係するのか

「なぜ川がきれいだと鮎がおいしくなるのか」。上長瀬やな 和亭として、毎年根尾川のほとりで鮎と向き合っているからこそお伝えできるお話を、できるだけわかりやすくまとめてみました。

「鮎はきれいな川じゃないと育たない魚ですよ」と、私たちはよくお客様にお話しします。これは決してイメージだけの話ではなく、鮎の”食べ物”と”体のつくり”が、川のきれいさと深く結びついているからです。

鮎は、川底の石についている「コケ」を主なエサにしています。ここで言うコケとは、藻類や微生物が集まってできた薄い緑色の層のことで、専門的には「付着藻類」と呼ばれます。このコケがきれいな水でしっかり育つと、鮎の身にスイカのようなさわやかな香りと、ほんのり甘い味わいが宿ります。

逆に、水が濁っていたり、生活排水などで汚れていたりすると、コケ自体の質が落ちてしまいます。すると鮎の体に余計な臭いがついたり、身の締まりが悪くなったりして、「川魚らしい香り」ではなく「クセの強い匂い」と感じられてしまうことがあります。シンプルに言えば、「鮎の味=鮎が食べているコケの味」と考えていただくと分かりやすいかもしれません。

また、鮎は一生のほとんどを川で過ごす、いわゆる「年魚」と呼ばれる魚です。年魚とは、卵からかえって一年以内に産卵し、一生を終える魚のことを指す言葉です。限られた短い一生の中で、どれだけよい環境で育つかが、そのまま味に直結します。

根尾川の鮎は、お客様から「香りが違うね」「身がふっくらしている」とよく言っていただけます。ある常連様は、他の地域で鮎を食べたあとに、「やっぱりここ(根尾川)の鮎は川の匂いがきれい」と表現されました。この「きれい」という言葉の中には、水の透明感や川風の爽やかさ、そして何よりも、鮎が育ってきた環境の良さが詰まっているのだと思っています。

根尾川が育てる「香りのよい鮎」のひみつ

上長瀬やな 和亭の目の前を流れる根尾川は、山々から流れ込む清らかな水に支えられた、透明度の高い川です。揖斐川町の中でも、上長瀬周辺はとくに川幅がほどよく、流れに緩急があることで、鮎にとって居心地のよい環境が整っています。

鮎が「おいしく育つ条件」は、ざっくり言うと次のようなものです。

  • 水が澄んでいて、余計な臭いがないこと
  • 川底に適度な大きさの石が多いこと
  • 太陽の光がよく当たり、コケが元気に育つこと
  • 冷たすぎず、ぬるすぎない水温が保たれていること

根尾川は、これらの条件をバランスよく満たしている川だと私たちは感じています。とくに川底の石は、丸みを帯びたものが多く、そこに育つコケの状態がとても良いのが特徴です。鮎は縄張りを持つ魚で、自分の気に入った石とコケの場所を守ろうとします。つまり、「ここは良いコケが生えているよ」という証拠でもあるのです。

実際、川が増水したあとなどに水が落ち着いてくると、私たちは川面を眺めながら「そろそろコケがつき始めたね」「この様子なら、鮎もよく育つな」と話し合います。コケの色や、川底の見え方ひとつで、その年の鮎の育ち具合をイメージできるようになってきたのは、長年ここで営業を続けてきたからこその感覚かもしれません。

ある年の夏、久しぶりにご来店くださったお客様が、窓の外の根尾川を眺めながら「この川の色を見ると、今日は絶対鮎がおいしいって分かる」と笑っておられました。その日は前日までの雨も落ち着き、水が程よく澄み、石の輪郭がくっきり見えていた日でした。実際にその年の鮎は、香りがよく、身も厚く育っており、私たちも「やっぱり川の状態と味は繋がっている」とあらためて実感したのをよく覚えています。

根尾川は、季節ごとに表情が変わります。新緑の頃は水がやや冷たく、若鮎にぴったりな繊細な香りが生まれ、真夏になると水温と日差しのバランスが整い、香りと旨みの乗った”ど真ん中の鮎”が育ちます。その変化を、私たちは毎年楽しみにしながら、炭火の前に立っています。

「きれいな川」だからこそ実現できる上長瀬やな 和亭の鮎料理

川がきれいで鮎がおいしい、という自然の条件が揃っていても、調理の仕方ひとつで味は大きく変わってしまいます。上長瀬やな 和亭では、根尾川が育ててくれた鮎の良さを最大限に引き出すために、日々細かな工夫を重ねています。

代表的な鮎料理として、当店で特に人気なのは次のようなものです。

  • 鮎の塩焼き
  • 鮎の甘露煮(頭から丸ごと食べられる柔らかい煮物)
  • 鮎づくしのコース料理
  • 揖斐川・根尾川エリアならではの季節限定メニュー など

鮎の塩焼きは、ごまかしのきかない料理です。身の鮮度、川の香り、脂の乗り具合が、そのまま味に出てしまいます。だからこそ、きれいな根尾川で育った鮎は、シンプルな塩焼きにこそ真価が現れると考えています。

当店では、鮎のサイズや脂の付き方を見ながら、塩の量や振り方、炭火との距離を細かく変えています。炭火焼きは「遠赤外線」の力でじっくり火を通す調理方法で、外はパリッと、中はふっくらと仕上げることができます。遠赤外線とは、炭火から出る目に見えない熱のことで、食材の中までやさしく熱を届けてくれる性質があります。この力を活かすために、火力が強すぎないように炭を組み、じっくり時間をかけて焼き上げています。

ある日、鮎が初めてというお客様が「川魚はちょっと臭いイメージがあって…」と心配そうに来店されました。一口目を恐る恐る食べられたあと、「あれ?全然臭みがないどころか、香りがいい」と驚かれ、その日は結局、追加で塩焼きをご注文いただきました。「川がきれいだと、こんなに味が違うんですね」と言われたとき、私たちは「そうなんです」と心の中で大きくうなずいていました。

甘露煮も、きれいな川で育った鮎だからこそ成立する料理です。甘露煮は、鮎を砂糖や醤油などで長時間じっくり煮込んで、骨まで柔らかくした保存性の高い一品です。香りがよく、身の質がしっかりしている鮎でないと、煮込んだときに味がぼやけてしまいます。根尾川の鮎は、煮ても崩れにくく、味に芯があるので、甘露煮にしても「川の香り」がちゃんと残ります。

当店は、鮎だけでなく、スペアリブやチキンステーキなどもご用意しており、「家族の中で鮎が好きな人と、そうでない人がいる」という場合にも安心してご来店いただけます。「おじいちゃんは鮎、子どもはお肉、みんなで川を眺めながら一緒に食事」という光景は、上長瀬やな 和亭の夏の定番風景になっています。

伝統の「やな漁」と根尾川の歴史が守る安心感

当店の名前にも入っている「やな」とは、川の一部に竹や木を組んで、上流から下ってくる鮎を受け止める伝統的な漁法のことです。やな漁は、1000年以上の歴史があると言われる日本の伝統的な川漁のひとつで、川の流れを読み、自然の力を借りて鮎を獲る方法です。根尾川沿いの地域でも、古くからやな漁が行われてきました。

やな漁は、網や大型の機械に頼らず、鮎が自然と川を下ってくる性質を活かして行われます。そのため、川の状態を無視して乱獲することが難しく、環境への負担も比較的少ない漁法です。「川の機嫌を見ながら、無理をしない」。そんなやな漁の考え方は、自然と共に生きてきたこの地域ならではの知恵だと感じています。

上長瀬やな 和亭のある揖斐川町は、谷汲山華厳寺などでも知られる、自然と信仰の歴史が息づく地域です。根尾川は、その一角を静かに、しかし力強く流れ続けてきました。昔から、この川で鮎漁をしてきた地元の方々の話を聞くと、「川の状態が悪くなれば、いずれ自分たちの暮らしにも跳ね返ってくる」という意識が自然と根付いていることが伝わってきます。

ある地元の漁師さんは、「鮎が減ってしまったら、自分たちも困るけど、孫の世代にもこの川で遊んでほしいからね」と話してくれました。その言葉には、単なる生業としてではなく、「川と一緒に生きる」という覚悟のようなものがにじんでいました。こうした人たちの思いが積み重なって、今の根尾川の姿があり、そこから私たちのお店の鮎料理も生まれています。

やな漁は、見た目にもとても迫力があります。川の中に斜めに組まれた木や竹に、上流から流れてきた水がざあっと当たり、その流れに乗って鮎が捕まります。水しぶきの音や、川の勢いを目の前で感じられるため、お子さまにも人気の風景です。「本当に川から鮎が来るんだ!」と目を輝かせる姿を見ると、私たちも思わず顔がほころびます。

お客様に安心して鮎を楽しんでいただくために

「川がきれいだと鮎がおいしい」とお伝えしましたが、その前提として、「安全で安心できる環境であること」が欠かせません。上長瀬やな 和亭では、自然の恵みに頼るだけでなく、お客様に安心して鮎を楽しんでいただくための取り組みも大切にしています。

まず、鮎の仕入れにあたっては、その年の川の状態や水量、気温などを踏まえて、地元の漁協や漁師さんとこまめに情報交換を行っています。「今年は成長がゆっくりだから、様子を見ながらいこう」「このサイズ帯が今一番おいしい」といった会話を重ねながら、その時期に自信を持ってお出しできる鮎を選んでいます。

また、天候によっては、川が増水して危険な状態になることもあります。そんなときは、やな漁を無理に行うことはせず、まずは安全を優先し、状況が落ち着くまで待つようにしています。ある年の大雨の後には、「しばらくは川に近づかない方がいいですね」と、釣りを楽しみにしていたお客様にも率直にお伝えしたことがありました。それでも皆さん、「無理しないのが一番ですね」と理解してくださり、落ち着いた頃にあらためてご来店いただきました。

店内の環境づくりにも、私たちなりの工夫があります。夏場でも快適に過ごしていただけるよう冷房を完備しつつ、窓の外には根尾川の流れが見える設計にしています。「涼しい店内で鮎を食べながら、目の前には夏の川」という環境は、小さなお子さま連れやご年配のお客様にも好評です。

初めて鮎を召し上がる方や、「川魚はちょっと苦手」という方には、スタッフが食べ方やおすすめのメニューをご案内します。例えば、骨が気になる方には、比較的小ぶりの鮎や、甘露煮のように骨まで柔らかく食べられる料理をご提案します。「どうやって食べたらいいですか?」と聞かれたら、頭から尾まできれいに食べるコツも、ていねいにお伝えしています。

あるご家族は、お子さまが鮎をきれいに食べきれるか心配されていましたが、スタッフがそばでコツをお伝えしながら一緒に食べているうちに、最後には「もう一匹食べたい!」と言ってくれるまでになりました。そのときのお父さんのうれしそうな顔は、今でも印象に残っています。

私たちが一番嬉しいのは、「またこの川の鮎を食べに来たい」と言っていただけることです。それは同時に、「またこの根尾川の風景を見に来たい」という言葉でもあると思っています。川の美しさと鮎の味、その両方を守りながら、これからもお客様をお迎えしていきたいと考えています。

川がきれいだと、鮎はおいしく育ちます。そして、おいしい鮎がいるということは、その川が大切に守られてきた証でもあります。根尾川のほとりにある上長瀬やな 和亭で、その「川の恵み」を、ぜひ五感で感じていただけたら嬉しいです。

「今年はどんな鮎が育っているかな」「今の根尾川の様子はどうかな」と気になったら、お気軽にお問い合わせください。その時々の川の表情とともに、いちばんおいしい鮎の楽しみ方をご案内させていただきます。



🍃**上長瀬やな 和亭(なごみてい)**🍃

2025年度の営業は終了いたしました
今年もたくさんの方にお越しいただき、誠にありがとうございました。
2026年度の営業は7月1日からとなります。来年もまたよろしくお願い致します😄


岐阜・根尾川の自然に囲まれた「やな」で、旬の鮎を炭火で。
魚屋一筋30年の目利きが選ぶ、極上の鮎料理をぜひご堪能ください。

📍岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲長瀬720
📞 ご予約・お問い合わせ:0585-55-2630
🕒 営業時間: 11:00~ 17:00 ラストオーダー16:30
🚗 大型駐車場完備 / PayPay対応

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