根尾川の恵みと伝統漁法「やな」を未来へ ~上長瀬やな 和亭が大切にしていること~ 🌿🐟

根尾川の恵みを受けて生きる「やな」と鮎料理の店として、伝統と環境をどう守るかは、私たち和亭にとって大切なテーマです。

この記事では、お店の目線から、やな漁の現代的な意義と、根尾川の自然を守る取り組みをお伝えします。


根尾川と「やな」が育む、かけがえのない恵みとは? 🌊✨

岐阜県揖斐川町を流れる根尾川は、鮎が育つために必要な「冷たく澄んだ水」と「きれいな川底」をあわせ持つ清流です。川底には苔や藻が豊かに育ち、その上で鮎が育つことで、独特の香りと味わいを持つ「香魚」としての魅力が生まれます。

当店の目の前を流れる根尾川では、夏になると川面がきらきらと光り、子どもたちの笑い声や水遊びの音が響きます。川のせせらぎを聞きながら炭火焼きの鮎をほおばる時間は、忙しい日常から離れて「自然に帰る」ようなひとときとして、多くのお客様に喜ばれています。

「やな」とは何か? 🎋

「やな」とは、川の流れを利用して魚を捕獲する、日本の伝統的な漁法です。竹などの自然素材で川に仕掛けを組み、流れに乗って下ってくる鮎を受け止めるシンプルな仕組みで、川の力を借りながら魚と向き合う知恵が詰まっています。

実際に「やな」を初めてご覧になったお客様からは、「想像以上にシンプルで、自然と一体になっている感じがする」「機械を使わずに、ここまで魚が獲れるなんてすごい」といった声をよく頂きます。生けすや大型漁船とはまったく違う、川と人の距離が近い漁法だからこそ、「自然から分けてもらっている」という感覚を体験していただけるのだと思います。


伝統漁法「やな」とは?現代に生きる仕組みをやさしく解説 🍃📖

「やな」は、竹や木を格子状に組み、川の流れを部分的に狭めることで、魚をせき止めるようにして捕まえる漁法です。その多くは鮎漁に使われ、鮎が下り始める季節になると、流れに沿って自然とやなの上に集まってきます。

専門用語でいうと、「簗(やな)」は川の中に設置する”漁具・漁場”そのものを指し、「やな漁」はその仕組みを使った漁法全体を意味します。機械で一度に大量にすくい上げるのではなく、鮎が自ら流れに乗ってやなに集まるのを待つスタイルなので、自然のリズムと歩調を合わせる必要があります。

やな漁に欠かせない「自然を読む力」 🌤️

やな漁は、ただ魚を獲るだけの仕組みではありません。

  • 川の水位や流れの速さ
  • 川底の石の状態や苔のつき具合
  • 雨量や上流の雪解けのタイミング

こうした自然条件に敏感になり、毎日の変化を観察することが欠かせません。和亭でも、朝の川の様子を見て「今日は少し水が増えたな」「鮎の動きが変わったな」といった会話から一日が始まります。

先人から受け継ぐ「感覚的な知恵」 👴🌊

昔から「やな」のある地域では、川の増水や災害の前兆を、川の色や流木、冷たさの変化から読み取ってきました。こうした感覚的な知恵は、マニュアルや機械だけでは身に付かないもので、現代でも安全な営業やお客様をお守りするうえで大切な財産になっています。

私たち和亭でも、長年の経験から培われたこの「川を読む力」を大切に受け継ぎ、日々の営業に活かしています。急な天候の変化や川の状態の変化にいち早く気づくことで、お客様に安心して楽しんでいただける環境を整えています。


やな漁はなぜ環境にやさしいのか?持続可能性という視点から 🔍🌱

近年、「持続可能な漁業」や「サステナブル」という言葉を耳にする機会が増えましたが、やな漁は昔からその条件にかなり近い形で行われてきた漁法です。大きなポイントは、自然素材と自然の流れを活かしていること、そして漁の規模に自ずと限界があることです。

自然素材を使い、川を傷つけない 🎍

やなに使う素材の多くは、竹や木などの再生可能な自然素材です。シーズンが終われば撤去し、川に恒久的な構造物を残さないことで、川の流れや生き物の通り道をふさがないようにしています。そのため、ダムや大規模な護岸工事のように、川のかたちそのものを変えてしまうことはありません。

この「使い終わったら元に戻す」という考え方は、現代のサステナビリティの概念と深く通じるものがあります。何百年も前から続いてきたこの漁法が、いまあらためて注目されているのも納得できます。

「自然な上限」が資源を守る 📊

また、やなで獲れる鮎の量には、川の状態による「自然な上限」があります。水が少ない年や、鮎の数が少ない年には、必然的に漁獲量も減ります。

  • 「たくさん獲りたいから」といって無理に増やせない
  • 川にいない分まで獲ろうとして、資源を枯渇させることがない

こうした”制約”こそが、長い目で見たときに資源を守る仕組みになっています。

和亭の仕入れポリシー 🐟💚

当店では、「今年は例年より鮎が小ぶりだな」「水温が低くて成長がゆっくりだな」と感じた場合、仕入れや提供方法を調整し、無理に量を追わないようにしています。実際に、コースの内容やサイズ、提供のタイミングを細かく調整しながら、川の恵みとお客様の満足度のバランスを大切にしています。

「今あるものを大切にいただく」という姿勢は、お客様にも伝わるようで、「無理に量を出さず、一尾一尾を大切にしている姿勢が良い」とお褒めの言葉をいただくこともあります。


魚屋一筋30年の目利きが語る「鮎を通じて見える環境」 👀🐟

和亭の店主は、魚屋として30年以上、鮮魚を扱ってきたプロの目利きです。日本各地の魚を見てきた中で、「根尾川の鮎は、水の状態がそのまま味に出る魚だ」と強く感じています。

鮎は「川の健康診断書」 📋

鮎は、川底の石についた藻や苔を主なエサとして育つ魚です。そのため、

  • 川の水が濁る
  • 生活排水などで水質が落ちる
  • 川底に泥がたまる

といった変化があると、すぐに鮎の香りや味わいに影響が出ます。「今年は香りが弱いな」「身の締まりが少し違うな」といった、プロにしか分からない微妙な差も、実は川の状態を映し出した”サイン”になっているのです。

鮎の品質を見れば、その年の根尾川の健康状態がわかる——。これは30年の経験があるからこそ言えることであり、私たちが川の環境保全に強い関心を持つ理由でもあります。

苦い経験から学んだこと 💭

ある年、大雨や上流の工事の影響で、一時的に川が濁りやすくなったことがありました。その時期は、例年と同じように見える鮎でも、香りが少し弱くなり、店主は「これは根尾川本来の力ではない」と悔しい思いをしました。

その体験をきっかけに、「単においしい鮎を出す」だけでなく、「おいしい鮎を生む環境をどう守るか」という視点で、地域やお客様と向き合うようになりました。鮎料理店として、ただ料理を提供するだけでなく、その源である川の環境を守ることも私たちの使命だと考えています。


「やな」は子どもたちへの教材でもある:体験から学ぶ環境教育 📚👦👧

和亭には、夏休みや連休になると、家族連れのお客様がたくさん訪れます。川遊びややな見学を通じて、「教科書では学べない自然の授業」ができることも、当店が大切にしている役割のひとつです。

お子さまの目が輝く瞬間 ✨

実際に、こんな会話がよく聞こえてきます。

「パパ、なんでこんな木の橋みたいなのが川にあるの?」

「これはね、昔からある『やな』っていう魚を獲る仕組みなんだよ」

そこでスタッフが、

「これは竹で組んで、鮎が流れてくるのを待つ漁法なんですよ。網でごっそりすくうんじゃなくて、自然の流れを利用しているんです」

とお話しすると、お子さんの目が一気に輝きます。「へぇー!」「すごい!」という素直な反応を見ると、私たちスタッフも嬉しくなります。

本物の自然に触れる体験 🌈

やなや川に触れることで、子どもたちは自然の”本物の姿”を体感します。

  • 水が透明で、足元の石が見えること
  • 小さな魚や虫、カエルが一緒に暮らしていること
  • 雨が降ると川の色や速さが変わること

こうした体験は、「きれいな川ってどんな川?」という問いに、自分なりの答えを持つきっかけになります。そして、「この川を汚したくない」「また来たときも同じ景色であってほしい」という気持ちが自然と芽生えていきます。

思い出が環境意識を育てる 🌻

子どもの頃に体験した「川の冷たさ」「鮎のおいしさ」「やなの不思議さ」は、大人になっても心に残ります。その記憶が、将来「自然を大切にしよう」という意識につながっていくと信じています。

和亭は、単なる食事処ではなく、次世代に自然の大切さを伝える「学びの場」でもありたいと考えています。


根尾川の環境を守るために、和亭が大切にしていること ♻️💪

お店として、できることは決して大それたものではありませんが、一つひとつ積み重ねることで、根尾川の未来につながると信じて取り組んでいます。

日々の取り組み 🧹

和亭で意識している主なポイントは、次のようなものです。

  • 排水への配慮:川に直接流れ込む洗剤や油を極力減らす工夫
  • 清掃活動:店舗周辺の清掃やゴミ拾いを、営業前後の習慣として続けること
  • 安全優先:大雨や増水時には、無理な営業や川への立ち入りを控え、お客様の安全と川の状態を優先すること

特に、団体のお客様が多い日には、紙コップやペットボトルなどがうっかり川に落ちないよう、スタッフ全員でこまめに目を配っています。「少しくらいなら大丈夫」という気のゆるみが、やがて大きな汚れとなって川を苦しめることを、これまでの経験から身をもって感じているからです。

仕入れにおける「量より質」の姿勢 ⚖️

また、仕入れの面でも、「量より質」を重視しています。鮎の数が少ない年に無理をすると、翌年以降の資源に響きます。だからこそ、

  • その年の川の状態を見極めたうえでの仕入れ量の調整
  • コース構成を柔軟に変えることで、お客様にきちんと満足していただきながら、無駄な乱獲を避ける工夫

といった点を、魚屋歴30年の経験を活かしながら判断しています。

地域との連携 🤲

私たちだけでなく、地域全体で根尾川を守っていくことも大切です。地元の漁業組合や自治体との連携、清掃活動への参加など、地域の一員として川の保全に貢献できるよう努めています。


やな漁が教えてくれる「獲って、食べて、感謝する」という循環 🙏🔄

やな漁は、魚を獲る瞬間から、食卓に上るまでが”ひと続きの物語”になっています。川から揚がった鮎は、すぐに炭火のそばへと運ばれ、職人の手で丁寧に串が打たれ、塩が振られ、じっくりと焼き上げられます。

自慢の炭火焼き鮎 🔥

当店自慢の炭火焼き鮎は、「外はパリッ、中はふっくら」とした食感とともに、鼻を近づけるとふわっと香るスイカやキュウリのような香りが特徴です。これは、清流の川底に生える良質な藻類を食べて育った鮎だからこそ生まれる香りであり、根尾川の恵みそのものと言えます。

炭火でじっくり焼くことで、鮎本来の旨味が凝縮され、皮目の香ばしさと身のふっくら感が絶妙なバランスに仕上がります。この味わいは、ガスや電気では決して再現できない、炭火ならではのものです。

人気の鮎雑炊 🍚

食事の最後にお出ししている「鮎雑炊」も、お客様からとても人気があります。焼いた鮎のうま味を余すことなくお米に移し、胃にやさしい仕上がりになるよう工夫している一品で、「最後まで鮎と根尾川を味わい尽くせる」と喜んでいただいています。

鮎の骨や頭からも良い出汁が出るため、一尾を丸ごと味わい尽くすことができます。これこそ、「いただいた命を無駄にしない」という私たちの姿勢の表れでもあります。

感謝の心を忘れない 💗

この一連の流れの中で、和亭が一番大切にしているのは、「命をいただいている」という感覚を忘れないことです。鮎に感謝し、川に感謝し、お客様とのご縁に感謝しながら一尾一尾を扱うことが、やな漁と鮎料理を続けていくうえでの原点だと考えています。

お客様にも、ぜひ「川の恵みをいただいている」という感覚を味わっていただければ幸いです。


四季折々の根尾川の魅力 🌸☀️🍂❄️

根尾川は、季節ごとに異なる表情を見せてくれます。ここでは、四季を通じた根尾川の魅力をご紹介します。

春 🌸

雪解け水が川を潤し、徐々に水温が上がり始める季節。稚鮎が海から川へと遡上を始め、根尾川にも新しい命が宿ります。川沿いには桜や新緑が芽吹き、清々しい空気に包まれます。

夏 ☀️

やなのシーズン本番!鮎が最も活発になり、川遊びを楽しむ家族連れで賑わいます。キラキラと輝く川面、子どもたちの歓声、そして炭火で焼く鮎の香ばしい香り——夏の根尾川は、五感すべてで楽しめる特別な場所です。

秋 🍂

鮎が産卵のために下り始める季節。「落ち鮎」と呼ばれるこの時期の鮎は、脂がのって独特の旨味があります。川沿いの木々が色づき、紅葉と清流のコントラストが美しい景色を作り出します。

冬 ❄️

川は静寂に包まれ、来シーズンに向けてひっそりと準備を進めます。この時期は、やなの修繕や設備のメンテナンスなど、次の夏に向けた仕込みの季節です。


根尾川の恵みを未来へつなぐために、お客様と一緒にできること 🤝🌏

最後に、根尾川の恵みをこれからも味わい続けていくために、お客様と一緒にできることをお伝えさせてください。

ご来店時のお願い 📝

ご来店の際に、次のようなことを心がけていただけると、とても心強いです。

  • ゴミの持ち帰り:川辺や駐車場で出たゴミは、必ずお持ち帰りいただくか、店頭のゴミ箱にお捨ていただくこと
  • 安全な川遊び:川遊びの際は、危険な場所に無理に入らず、決められた範囲で楽しんでいただくこと
  • 魅力の発信:根尾川の景色や鮎のおいしさを、ぜひ周りの方にもお話しいただき、「この川を守りたい」という輪を広げていただくこと

世代を超えて受け継がれる思い出 👨‍👩‍👧‍👦

実際に、「子どもの頃に家族と来た和亭に、大人になって自分の子どもを連れてきました」というお客様も増えてきました。そうした声を聞くたびに、「この川を、この鮎を、次の世代にちゃんと渡さなければ」と、あらためて身が引き締まる思いがします。

三世代でご来店いただくお客様もいらっしゃり、「おじいちゃんが子どもの頃から通っていた」というお話を聞くと、私たちの店が地域の歴史の一部になっていることを実感し、その責任の重さを感じます。


おわりに ~伝統と自然をつなぐ「橋」として~ 🌉

やな漁は、単なる夏の観光資源ではなく、地域の暮らしや文化、そして自然環境をつなぐ、ひとつの「橋」のような存在です。

和亭は、これからも根尾川とともに歩みながら、伝統漁法「やな」の現代的な意義と、清流を守る大切さを、鮎料理を通じてお伝えしていきたいと考えています。

お客様一人ひとりが、根尾川で過ごした時間を心に留め、「また来たい」「この川を守りたい」と感じていただけたら、それが私たちにとって何よりの喜びです。

皆さまのお越しを、スタッフ一同、心よりお待ちしております。


根尾川の清流と、伝統のやな漁、そして心を込めた鮎料理で、皆さまをお迎えいたします。 🐟✨



🍃**上長瀬やな 和亭(なごみてい)**🍃

2025年度の営業は終了いたしました
今年もたくさんの方にお越しいただき、誠にありがとうございました。
2026年度の営業は7月1日からとなります。来年もまたよろしくお願い致します😄


岐阜・根尾川の自然に囲まれた「やな」で、旬の鮎を炭火で。
魚屋一筋30年の目利きが選ぶ、極上の鮎料理をぜひご堪能ください。

📍岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲長瀬720
📞 ご予約・お問い合わせ:0585-55-2630
🕒 営業時間: 11:00~ 17:00 ラストオーダー16:30
🚗 大型駐車場完備 / PayPay対応

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